Ⅰ 「育成したい生徒像」の実現に向けた具体的な方策

1 体験的・実践的な教育の推進

(1) 農業の六次産業化を視野に入れた取組

・有機農業コースと野菜製菓コースの連携
・地域企業との連携事業の推進

 六次産業化とは、1次産業としての農林漁業が、2次産業としての製造業や3次産業としての小売業等の事業との総合的かつ一体的な推進を図り、農山漁村の豊かな地域資源を活用した新たな付加価値を生み出す取組のことです。本校では、本校農場で栽培・収穫された農産物を食品(製菓やパンなど)に加工し、道の駅等で販売するまでを、一体的な流れとして教育に取り入れ、実践しています。

(2) 農業クラブ三大事業への収斂

・大豆100粒運動の推進
・企業との連携によるプロジェクト学習

 農業クラブ三大事業には、意見発表、技術競技、実践発表があります。農業クラブ活動の特徴は、生徒一人一人の得意・不得意に合わせて取り組める内容となっていることです。生徒たちによるプロジェクト学習などの日常の取組が三大事業の発表に結びついていくことで、さらなる学習効果につながります。

(3) 地域と連携した体験学習

・村内異校種との連携事業
・地域と連携したボランティア活動
・村内給食センターとの連携

 地元自治体や企業、農業経営者等と連携したレシピ開発や、地域の幼保小中学校、福祉施設などとの交流事業をとおして、他者と協力して一つのものを完成させていくことの大切さを学び、自分の持つ知識や技術が役に立つ体験による自己効力感と社会参画意識を育てます。

2 コース制の特色を生かした教育の推進

(1) 有機農業コースの取組

・慣行栽培の知識・技術の習得
・有機栽培・環境保全の知識・技術の習得
・有機JASによる野菜栽培
・道の駅での農作物販売

 有機栽培(オーガニック)とは、農薬をできるだけ控え、有機肥料を使用するなど、土の力、微生物の力を最大限に引き出して行う栽培方法のことです。これに対し、農薬や化学肥料を使った従来型の栽培方法を慣行栽培といいます。
 有機栽培は慣行栽培と比較して、収量が少なかったり栽培期間が長くなったり、品質のばらつきが出やすいなど、技術的にはかなり難しい栽培方法です。
 有機農業の最も重要な目的は、環境への負荷をできる限り少なくすることです。慣行栽培は、化学的に合成された農薬や肥料を使うため、その合成過程で多くの石油資源やエネルギーを消費し、また、人工合成物を環境に散布することによる生態系への悪影響など、環境への負荷が大きなものとなります。有機農業には、食品の安心・安全とともに、環境保全という目的があり、近年は、特に先進各国で大きな関心が寄せられ、日本国内の消費行動にも変化が起きています。
 本校の有機農業コースでは、慣行栽培の農業技術の基礎の上に、有機農業の知識や技術を身に付けることを目指しており、農場においても慣行農場と有機農場をバランス良く展開した、実践的な農業教育を行っています。

(2) 野菜製菓コースの取組

・農業教育をとおした食材知識の習得
・製菓・製パンの知識・技術の習得
・製菓衛生師国家資格の取得
・道の駅での高校生カフェの運営

 スイーツの素材といえば、小麦、卵、乳製品などの他に、果物がよく使われますが、野菜を素材とするスイーツレシピは、あまり多くはありません。野菜は極めて個別性が高く、多くの経験と工夫を必要とする素材だからです。だからこそ、野菜の甘さや風味など、野菜のおいしさを最大限に引き出し、一つの作品として仕上げられたときの達成感は大きく、誰かにおいしいと言って食べてもらったときの喜びは、他に換えられないものがあります。

 パティシエの仕事は、大きく2つに分けられます。スイーツをつくることと、そのレシピを考えること。本校の野菜製菓コースでは、その2つの力を、野菜を素材としたスイーツづくりをとおしてバランス良く育てます。特にレシピづくりは、素材をよく理解していることが求められますが、自分自身で野菜を栽培して収穫することで、野菜を素材から理解し、レシピづくりの発想力を身に付けます。そして、専門学校とのダブルスクールにより、高校在学中に製菓衛生師国家資格を取得することを目指します。

3 生徒一人一人の個に応じた教育の推進

(1) 基礎・基本を重視した学習指導

・ティームティーチングによる教育の推進
・実習等における少人数指導の充実
・生徒個々の特性に配慮した教育の推進

 本校では、特に低学年のほぼ全ての授業において、複数教員の配置によるティームティーチングの授業を行っています。また、農業科目については実習が多くなりますが、これについても、1クラスに2~5名の教員を配置し、コースおよび班に分かれるなど、少人数による教育を行っています。これにより、生徒一人一人への手厚い対応を行うことが可能となっています。

(2) 教育相談体制の充実

・全教職員による教育相談体制の充実
・情報共有および協働体制の充実

 本校では、全教職員による教育相談週間を定期的に設け、個々の生徒の相談を行っています。また、定期的および、必要に応じて教員間で情報を共有し、いじめや人間関係のトラブルを未然防止、早期発見、早期対応のために、組織的な対応を行っています。

(3) 社会性を育む教育の推進

・農業のプロジェクト学習による協働力の育成
・部活動加入100%を生かした教育の推進
・耕心寮におけるきめ細かな生活指導

 農業のプロジェクト学習は、班別で行います。互いに話し合い、役割分担や意見調整を行い、課題解決に向け協力して研究を行い、発表を行うなどの過程をとおして、課題解決能力とともに、協働力を育てます。

 部活動の加入率は、毎年ほぼ100%であり、全ての生徒が自分の選んだ何らかの活動に参加しています。この活動をとおして、学年を超えた人間関係形成能力を養うとともに、目的に向けて仲間と協力して行動する力を育てます。

 寄宿舎「耕心寮」においては、舎監2名、管理人夫妻が常駐し、当番の日直、宿直を含めて、日常的な指導・相談体制をとっています。集団生活をとおして、ルールを守ること、他者と協力することの大切さを学び、社会性を身に付けます。

 

4 地域連携事業の充実

(1) 講話・教室

項  目 内     容
交通安全教室 倶知安警察署員・交通被害者を招き、交通安全講話を実施
生徒・職員の交通安全宣言、交通安全標語の表彰等
 交通安全街頭キャンペーン  農業クラブ役員により、道の駅において交通安全街頭キャンペーンを実施している。
薬物乱用防止教室 倶知安警察署員を招き、薬物乱用防止教室を実施
ネットトラブル防止教室 外部講師を招き、ネットトラブル防止講話を実施。また、生徒指導部担当教員により、各学年のLHRの時間を利用して指導実施
思春期教室 倶知安保健所の保健師を招き、性に関する指導を行っている。
いじめ撲滅推進委員会 各クラスから募集した「いじめ撲滅推進委員会委員」により全校集会を開き「いじめの防止」について討議する。
職業講話 後志教育局、進路相談員による職業講話を実施

 (2) 企業・団体等との連携

項  目 内     容

ジュニア豆腐マイスター

認定講座

大豆100粒運動の一環として、豆腐マイスター認定講師を招き、本校1年生を対象にジュニア豆腐マイスターの認定を目指すもの。

湧水の里との協同

レシピ開発

地元真狩村の豆腐店との連携により、豆腐スイーツのレシピ開発を行っている。

村農家の依頼による

レシピ開発

村農家の依頼により、村の野菜を利用したスイーツレシピの開発と試食会の実施している。

(3) 異校種間交流

 項  目  内     容
 保・高連携事業   真狩保育所の花壇の整備と苗の植え付けを保育園児と一緒に実施
 小・高連携事業  大豆100粒運動の一環として、本校2年生が村内小学4年生を対象に、大豆の播種から収穫、豆腐への加工までを指導
 中・高携事業  京極中学校生徒とともに京極町ほくほく祭りの製菓づくりと販売
体験入学 中学生を対象とする体験入学の実施(本校生徒による補助指導)

(4) ボランティア活動

項  目 内     容
村内清掃活動 通学路の清掃、道の駅、市街地周辺の清掃
村内花壇実習 市街地の歓迎花壇及び道の駅周辺の花壇への苗の植え付けと整備
除雪ボランティア 一人暮らしのお年寄り住宅の除雪・窓拭きボランティア
共同避難訓練 寄宿舎生徒が、隣接する特別養護老人ホームの避難訓練に参加

(5) 地域との連携・交流

項  目 内     容
ほくほく祭り 学校祭とほくほく祭りとの同時開催(まっかり産業祭り実行委員会との連携)
高校生カフェ 製菓づくりと、道の駅での販売会の実施
収穫物の販売活動 道の駅で、野菜苗および多肉植物の販売実習を実施
学習成果の発表 農業クラブ校内発表会の公開と審査員依頼(意見発表大会、実績発表大会)
郷土芸能の保存 神楽「浦安の舞」の継承(真狩村浦安の舞保存会との連携)
学校開放講座 本校が主催する村民講座(食品加工教室、英会話教室等)の実施